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藤原茶舗 立礼卓+床几尾道の茶道具を扱うお店からのご依頼です。
普段デザインしている日常使いの家具たちとは少々勝手の違う今回のお仕事。
茶道の知識のまったくない私が今回のデザインをするにあたっては
お店の三代目店主F様との打合せ(というよりも茶の湯の伝統勉強会?といった雰
囲気でしたが)でのやりとりが唯一のデザインソースでした。
表千家や裏千家といった家元によって点前はもとより茶道具の寸法や仕様までが
事細かに違う世界ですが今回の製作に限っては、
もっと自由に、
茶の湯を楽しむための今の時代に即した機能的な家具をコンセプトに設計を
進めて行きました。
年配の方が多いとの事で座式ではなく立礼式(椅子に座っての)とし、
茶会の開かれないときは納戸に片付けておける折畳み式を採用。
またお茶の世界ならではの、
季節を感じられるしつらいの演出装置として、立礼卓前面の化粧を
夏には簾などに用いられる涼しげな細竹、
冬は
煤竹を用いた化粧枠を
季節毎に取り替えが可能な作りとしました。
しかもその貴重な煤竹、
今は亡き茶道具職人でもあったお店の初代が自らの作品作りのために大切に
保管されていたものを分けて頂いたものなのです。
まさにお店の新たな道具に生まれ変わるべく時代を超え僕の手に引き継がれた素材なのでした。
初代も日の目を見ずにいた煤竹の
生まれ変わった姿を喜んでおられるのではないかと感じています。
また床几(折り畳み椅子)の座面には地元の素材である尾道帆布を張り込みました。
いつかお仕事で使いたいと思っていた素材ですが、
今回のお仕事でデビューとなりました。

□立礼卓
Size : w940mm x d420 x h1570
Material : ナラ材、メラミン化粧合板、細竹、煤竹、帆布
Finish : wax.

□煤竹(冬季)

□細竹(夏季)

□収納時(二台分)。分解して収納する際、物置用の中棚が天板裏のスペースにちょうど収まる。

□折り畳むと脚部はちょうど畳縁と同じ巾ほどの厚み

□煤竹のレイアウト。竹の節の位置の配置や並べ方で『景色』が変わる。